予め行っておきますが、この記事の内容には出典も何もありません。
全て事実と自分の見聞を元にした私の非常にかってな憶測です。
あと、できるだけ丁寧に説明しているために、かなり文章が長くなってしまっています。
また、停車駅の記述の中で、その土地にある企業などが関わっていると思われる箇所に関しては、明らかにそうであってもあえて書かないようにしています。利権絡みの話だと特に面倒になりますし。
もどかしい文章ですが、時間や心に余裕がある方はぜひ読んでみてください。

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現在、九州新幹線内での乗客の移動の多くを担っているのはなんといっても「さくら」ですよね。

一部便が山陽新幹線に直通していることもあって、山陽新幹線でも「ひかりレールスター」を博多から先へ延長させることにより「さくら」への置換えが進み、「ひかり」「さくら」はほぼ対等なポジションに就きつつあります。
もちろん、九州に直通することの他に、ひかりレールスターの代わりを担うという性格上、新しく登場した直通用N700系の指定席は2+2の快適な配置となっていて、それが人気の一因ともなっています。

山陽新幹線内ではほぼ「ひかり」の停車駅を踏襲する形で運行されてはいますが、九州新幹線内では相当な停車パターンが用意されており、請願駅が比較的多いという九州新幹線独特の環境のもとで、どの駅からでも新大阪への直通便が利用出来るようになっています。

熊本を境に停車パターンをそれぞれまとめてみると、
熊本以北で①久留米のみに停車するもの、②新鳥栖のみに停車するもの、③両方に停車するもの…
熊本以南で④川内のみに停車するもの、⑤各駅に停車するもの
の二種類に大別されます。さらに、博多発着、新下関発着、新大阪発着のパターンがありますから、単純に考えて、上のパターンだけでも全部で12通りは存在することになります(あくまでも、単純計算なので、実際より多いだろうとは思いますが)。

しかし前述のとおりすべての駅から新大阪直通便を利用出来るようにするために、熊本以北で、
各駅に(544号)、筑後船小屋・新鳥栖に(557・558号)、新大牟田・久留米に(561・562号)、新玉名・新鳥栖に(553・566号)
停まるものもあり、更に面倒です。ちなみに、上で挙げた停車駅の便は、すべて④のパターンとなります。

ちなみに、直通便の九州内での停車パターンは13通りだそうです。更に、山陽新幹線内まで考えれば、上下含めて2便以上存在しない停車パターンが出てきてしまいます。
まさに、千鳥停車の最たる例ではないでしょうか。
さくら
そんな風に停車駅の選択が滅茶苦茶な中でも、一応「基本パターン」と言えるものは存在しています。
上の図がまあそれなのですが、日中は基本的に、
博多発着の便が②⑤「鹿児島中央~熊本の各駅と、新鳥栖のみ」(以下「島内パターン」)、そして新大阪発着の便が①④「川内と久留米のみ」(以下「直通パターン」、また「博多」「熊本」「鹿児島中央」は書く必要がないので記述から外しています。以下同じ)というのが、数あるパターンの中ではそれぞれ一定の数存在しています。
あとは、博多~熊本のみの運行で、③の停車駅で運行するものも割と多く設定されています。

さて、なぜ島内パターンと直通パターンでこのような停車駅の選択になったのかというところまで考えてみたいと思います。

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まずは島内パターンですが、改めて停車駅を洗い出すと、「鹿児島中央・川内・出水・新水俣・新八代・熊本・新鳥栖・博多」となっています。
一見すると、失礼ながらマイナーな駅に停車することが比較的多いように感じますし、どうして熊本以南で各駅停車を行うのかも気になるところです。

実は熊本以南ではほとんど「つばめ」が運行されていないのです。
その代わりとして、博多発着の「さくら」の多くを熊本以南での各駅停車としているわけです。

ではなぜ、そうすることにしたのでしょう。
端的に言えば、南九州から博多へのアクセスを、乗り換えなしで、より早くするのが目的なのだろうと言えます。

その考えに至る過程として、JR九州がJR博多シティを開業させたのは、やはり南九州の人たちの目を「博多」に向けさせるためというのがひとつ考えられます。
これまで南九州の人にとっては熊本・鹿児島が影響を持ち、遠い福岡県にはあまり目が向かなかったというのはすぐに想像が付きます。そして、なかなか福岡に目が向かなかったのは、やはり時間がかかること、そして必ず乗り換えが必要となってしまうことが原因にあったと考えられます。

それを解決するためには、各駅停車の「つばめ」を鹿児島中央~博多で運転させるだけではいけませんでした。それでは速達性が確保できませんし、より早く行こうとしても、緩急接続を行って熊本などで「さくら」への乗り換えが必要となってしまっていたはずなのです。
そうして、博多どまりの便の多くは熊本以南各駅停車という措置が取られたのです。

今度は、新鳥栖に停まる理由を考えていきます。

新鳥栖駅は、長崎本線との乗換駅であり、在来線の特急列車全てが停車し、長崎方面へのアクセスは良好です。
この新鳥栖駅が出来た目的の一つに、長崎本線沿線から九州新幹線を利用するため…というのはもちろんあったことでしょうけど、南九州⇔西九州の人の流動を増やすためという考えもあったのではないでしょうか。
だからこそ、南九州の駅に多く停まる博多止まりのさくらを新鳥栖に停車させたのだろうと考えられます。

結局は、九州島内の中域輸送に対応するため、ということで「島内パターン」の説明がつくのではないかと思います。

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一方の「直通パターン」は、停車駅は島内パターンに比べると、ずいぶん少なくなっています。

朝夕の「みずほ」が、航空に対抗するため、ビジネス向けに最速達便として設定されたのはよく知られた話です。
ただ、朝夕だけ航空に対抗しても、日中の客が航空に流れてはいけませんから、みずほと同じく、航空にある程度対抗するべく九州内での停車駅が少ない「直通パターン」が設定されたということは容易に想像がつくだろうと思います。

ではなぜ途中の停車駅に久留米と川内を選んだのでしょう。
とりあえず両者に共通して言えるのは、都市規模です。やっぱり都市規模が大きければ電車の停車する本数が増えるというのはおよそどこにでも当てはまる話です。
また、久留米駅のある久留米市は人口約30万人で、福岡県第三位、川内駅のある薩摩川内市は人口約10万人で、鹿児島県第四位の人口を擁しています。
更には、久留米は筑後地区の、薩摩川内は北薩地区の中核をなす都市ですから、当然その周辺の自治体から以上2つの都市を経由して福岡、鹿児島へ行く人も多いはずです。

駅別の状況について考えてみます。

まず薩摩川内市は北薩地区の中心都市で、鹿児島市への人の流れも多いことは容易に予想されます。
これまで川内から鹿児島まで、在来線や自動車を使うと1時間前後かかっていたにもかかわらず、新幹線では12分となりました。
これにより薩摩川内市から鹿児島市のアクセスは格段に向上し、川内駅の利用者も格段に増えたわけです。そこで、薩摩川内市民の便宜をはかるために、前述の島内パターン便とまとめてこの直通パターンでも川内に停めるようにしたのだろうと考えられます。
また、博多方面へのアクセスに関しても、島内パターンの停車駅では、川内からだと時間がかってしまうので、直通パターンによって博多への速達性を高めることも目的の一つにあったのではないでしょうか。

では久留米はどうでしょう。
久留米は比較的福岡に近いですが、九州新幹線内のいわゆる「途中駅」の中では最大規模の駅ですから、準速達便であるさくらの停車本数を多くすることは避けられなかったであろうことは容易に考えられます。

しかし、久留米の鳥栖・新鳥栖との在来線の実態の違いも考えてみる必要があります。
鳥栖・久留米共に在来線の特急はすべてが停車します。しかし、九州新幹線の開業にともなって、鳥栖以南を走る特急列車はほとんどなくなり、久留米駅に停車する在来線特急列車も激減しました。
そうなると、在来線のみの速達手段は快速電車だけとなってしまいます。これまで鳥栖のみに停車する「リレーつばめ」では博多まで24分で行けていた久留米ですが、現在、快速では最速でも32分と、5分以上も遅くなってしまいました。

久留米の福岡方面へのアクセスに関しては、西鉄があるのでさして問題ないように思われますが、久留米からは久大本線が分岐しており、さらに久留米市街地を東西に貫いています。
久大本線の利用者が福岡へ行く際は必然的にJR久留米駅を利用することになりますし、筑後地区⇔福岡の移動で西鉄に大きく水を開けられているJRはこれ以上の西鉄への流出を防がなければいけませんし、久大本線からリレーつばめなどへ乗り換えて博多に行く人も多かったはずなのです。
そのためにはやはりこれまで通りの特急に相当する便を設定しないといけませんでしたから、久留米に停まる便に関しては新鳥栖を通過するようにしたということが言えそうです。

また、九州新幹線の全通以前は、久大本線沿線から新幹線を使って山陽新幹線方面へ向かう場合、特急「ゆふ」の本数が少なく、たいてい久留米で乗り換えが必要となっており、更に博多でも乗り換えないといけませんでしたから、手間がかかりすぎていたのです。
一方で長崎本線は「かもめ」等が多く設定されており、長崎本線沿線の特急停車駅の場合、山陽新幹線を使うための乗り換えは博多の一度だけで済んでいました。
そうした微妙な格差を解消するべく、直通パターンの停車駅に久留米駅が入ったということも無きにしも在らずです。

そして、スピードの問題です。
実は新幹線の線路は久留米付近に急カーブがあり、久留米駅を通過する際もかなりきつい制限がかかっているのです。そういうこともあってか、博多と熊本の間では、久留米を通過するものより、新鳥栖を通過するもののほうが所要時間が2分ほど短くなっています。
先にも述べたとおり、直通便はスピードが大切ですから、そういった面でも、少しでも所要時間を縮めるために、フルスピードで通過できる新鳥栖をできるだけ通過させるようにしたのでしょう。

久留米に関しては、在来線特急の補完や、久大本線沿線のことを考えての選択だったと結論づけられそうです。
川内に関しては、鹿児島と博多の双方向へのアクセス確保ということが言えそうです。

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以上のように、島内パターン、直通パターンで停車駅に大きな差異があることは説明しました。
しかし、これだと久留米駅から新八代・新水俣・出水の3駅までを、乗り換えなしで利用できない時間帯が続いてしまうのです。
こうなると、熊本で島内さくらとつばめとの相互の乗り継ぎが必要となってしまい、少なくとも久留米⇔南九州という観点では確かに所要時間は短縮されたものの、他の区間と比べると劇的な速達効果は出ていません。

逆に、さくらが多く停車するにもかかわらず、それらの3駅から山陽新幹線区間までを、乗り換えなしで利用できないというのも然りです。
そうすると今度は博多での乗り換えが必要となり、関西直通というメリットが生かしにくくなります。

しかし、改めて考えれば上記のような利用が果たしてどれくらいあるのかという話ですから、少数の利用しか見込まれない区間(例えば久留米・新水俣間)については切り捨てる(というよりは、JR九州が使って欲しい区間については本数を増やす)という形で各便の停車駅が決まっていったのだろうと思われます。

ただ、今度からひかりレールスターが博多から先へさらなる本数が延長されることが半ば決まっているため、現在の直通パターンと島内パターンで、どのようにしてそれぞれの駅への停車本数を調整するのかが見ものなのかもしれません。
九州新幹線の時刻表を観るときに、どの列車がどの駅に停まるのか、よくよく意識してみてみると、こうしていろいろな事が考えられるものです。